株式会社エムネス|「エンジニアは魔法使いだ」——エムネスは、より良い医療のために技術を使う
2023.04.04
この記事に登場する人
福田 潔(Kiyoshi Fukuda)
株式会社エムネス
執行役員/CTO
SI企業、外資系テック企業のエンジニアを経て、Google JapanにてGCPの立ち上げにリードSEとして8年間従事。2020年10月にエムネスの開発・エンジニアリング担当執行役員就任。効率的な開発手法、
拡張が容易なアーキテクチャーの構築に常にチャレンジ中。
2000年10月10日、今よりももっと「医師による起業」がマイナーな選択だった時代に生まれたのが、遠隔読影を支援するサービス「LOOKREC」を提供するエムネスだ。
創業者は、放射線科のドクターである北村直幸氏。
十分な医療が行き届いていない地域でも、専門医による診断が受けられるようにと会社を立ち上げた。
創業から20年が経過し、エムネスは現在、変革期を迎えている。
広島本社から事業をスタートし、現在は東京拠点を設立。新たな代表、そしてエンジニア組織のトップにGoogle出身者を迎え、新たな風を取り入れながら事業を拡大中だ。
エンジニアリング本部長としてプロダクトマネージャーとエンジニアを務める福田潔さんは、言う。
「エンジニアは、いうなれば魔法使いみたいな存在です。一般の人から見れば、まるで魔法のように思える技術を扱い、それを活用して世の中を変革できるからです。」
エムネスは医療の世界に、どのような魔法をかけるのか。課題が山積する医療業界で奮闘する、エムネスの「DAY1」をお届けする。
その技術を何に使うか
誰もが自分の健康を管理できる世界へ
DXの推進が急務になっていますが、なんでもかんでもデジタル化すればいいというものではなく、問題解決の手段として技術を扱うというのが私の考えです。
たとえば、エムネスの広島オフィスに併設されている霞クリニックでは、患者さんが紙とファイルを持って検査室を回ります。単純にDXを推進するだけなら、「紙を使わない」という発想になるはずです。
でも、紙に検査結果を記してもらいながら、それを持って検査室を回っていく体験は、患者さんにとって非常に分かりやすい仕組みだと思います。ユーザーの体験を考えて、あえてデジタル化をしないという選択肢もあり得るはずです。
エンジニア出身の一人として、技術が世界を便利にしていくことは十分に理解していますが、これからのエンジニアは単純にソフトウェアを構築するだけでなく、それを提供した先のユーザーの体験がどのように変わるかを考える必要があると思います。
私たちが技術を活用する場所としているのは、「身体の状況をありのままに管理するプラットフォーム」の開発です。
病院の中で鍵を掛けられてしまっている情報を解き放ち、患者自身が自らの健康に関する情報を自分で管理できる「患者のための診療録」を構築できると、より良い医療を受けることのできる世界に大きく近づくと思います。
その一手として、現在は遠隔読影を支援するサービス「LOOKREC」を提供しています。今は主にD2D(Doctor to Doctor) のサービスを想定していますが、将来的には、D2P(Doctro to Patinet)に広げていければと思っています。
身体が発しているさまざまなシグナルをありのままに、正確に素早く、そして安全に医師と患者に手渡して、身体のどこでなにが起こっているのか把握できる。そのシグナルを読み解く専門性を持った医師たちがチームで協力し、患者さんのための理想の医療、ひいてはワークスタイルやライフスタイルまでを提供する。
これを実現することが、私たちが技術を扱う理由です。
どのように働くのか
怠惰であり、主体的であれ
東京と広島に拠点があり、東京のメンバーはオンライン主体、広島のメンバーはオフライン主体で働いています。拠点によって開発している分野が異なるので、働き方やカルチャーにも差があり、それぞれ最適なスタイルを追求した結果、現在の体制に至りました。
ただ、組織が分断されてしまうことは避けたく、一体感を持って働きたいので、四半期毎に社員が集まる機会をつくってきました。これからもオフサイトミーティングを開催するなどして、オンライン特有のコミュニケーション不足を解消する取り組みを実施していく予定です。
コロナ禍の影響も少なくなってきているので、これから東京と広島のメンバーが交流する機会が増えていくと思います。それぞれのいい文化を残しつつ、融合させながら、より強い組織をつくっていくことが、組織づくりにおける直近の目標です。
CEOの阿部も、私もGoogleの出身なのですが、同社は大胆で創造的な思考に重きを置く企業です。時間をかけて単純作業をすることなく「いい意味での怠惰」を追求していました。
例えば、SREには「Toilを排除する」という考え方があります。
エンジニアは手作業による繰り返し作業(Toil)を減らすために、プログラムやスクリプトを書いたり、自動化ツールを使用したりすることができます。また、問題解決のためには、適切なアルゴリズムやデータ構造を使用することで、より効率的なコードを書くことができます。
私はその文化をリスペクトしているので、エッセンスを取り入れながら、エムネスらしさの一つにしていきたいと思っています。
また、Googleではユーザーファーストが徹底されていました。エンジニアたちは、製品やサービスを開発する際に常にユーザーの視点を念頭に置き、ニーズや要望を理解し、最高の体験を提供することを目指していたのです。
エムネスでもエンジニアがお客様と直接コミュニケーションを取るなど、価値に直結するアクションを追求していける組織にしていけたらと考えています。
誰と働くのか
誠実、真摯、一生懸命
エムネスで働くエンジニアは、一言で表現するなら「いい人」です。広島人の気質かもしれませんが、仕事に対して真摯で、仲間への尊敬の気持ちを強く感じます。
本当に、驚くほど真っ直ぐな人が多いのです。
私が入社してから2年が経過し、採用活動にも力を入れ、少しずつカルチャーが変化してきました。ただ、この「いい人」カルチャーを薄めてはいけないと思っています。
創業から現在まで連綿と続くカルチャーを維持したうえで、ここに「いい意味での怠惰」を浸透させたり、「柔軟な思考」を取り入れたりしながら、もっともっとエンジニアが才能を解放できるようにしていきたいと考えています。
また、例えば「AIを開発しよう」というように、技術ありきで考えるのではなく、すでにある技術をいかに活用し、社会に貢献できるかと考えるのも我々の強みにしていきたいと考えています。
技術は課題解決の手段である以上、課題を解決しなければ意味がない。それを強く認識しているのが、私たちの強みにもなっていると感じています。
エムネスで働く未来の仲間たちへ
どんなマジックを起こしますか?
私が思うエンジニアは「技術を駆使してマジックを起こす人」です。
もう現場を離れて長いですが、技術は日に日に進化していて、生み出せる価値の大きさもかつてと見違えるほどになりました。最近のGenerative AI を見ても、人間にしかできないと思っていた「驚くようなこと」ができるのを目の当たりにできるようになっています。
そんな時代だからこそ、技術を何に生かすかが重要なはずです。
エムネスは、「身体の状況をありのままに正確にリアルタイムに伝えて世界中の医師や医療従事者が連携して、患者のために理想の医療を提供できるようにすること」というミッションを掲げています。
技術を「患者のための理想の医療」の実現のために使いたい。日本は高齢化が進んで医療費がかさんでいるだけでなく、人手不足による医師の疲弊が深刻な状況です。
人間であれば、いつか健康が最大のテーマになるはずなのに、医療の現状は課題を多く抱えている。これは由々しき状況だと思っています。
でも、たとえば「LOOKREC」が普及すればどうなるでしょうか。
会社員を経験した人であれば、健康診断を受けた経験をお持ちだと思います。でも、10年前の健診結果がどうだったか覚えている人はいないでしょう。診断結果を保存している人も少ないと思います。これらの情報を経時的に追っていくことで身体の変化、病気の予兆に気づくことができるかもしれません。
私たちの診療データは、各病院にバラバラに保存されています。保有している膨大な医用画像をクラウド管理し、それを利活用できれば、医療体験が大きく変わります。
コロナ禍に端を発する健康意識の高まりから、この記事を読んでくださっている方には、健康が人生の大きなテーマになってきている人もいるはずです。
そうであれば、私たちと一緒に、この業界にマジックを起こしてみませんか?
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