株式会社ヤマップ|もはや“登山の会社”ではない。地球のWell Beingを目指すヤマップで、壮大な旅路を歩く
2023.04.04
この記事に登場する人
樋口 浩平(Kohei Higuchi)
株式会社ヤマップ
取締役CTO
2013年11月にヤマップ2人目のメンバーとして参画し、システム開発全般を担当。
現在はCTOとしてプロダクト開発マネジメント、エンジニアのパフォーマンスの最大化に取り組む。
テクノロジーで登山の安全性を向上させ、あたらしい山の楽しみ方を創出し、地球とつながるよろこびを届けたい。
2023年3月、累計360万ダウンロードを突破した登山地図GPSアプリ「YAMAP」。2013年にリリースされると、現在は登山家の中では知らない人がいないほど、愛されるサービスへと成長した。
「アジア太平洋地域における急成長企業ランキング2023」にて500社中54位にランクインするなど、国内外から注目を集め続けている。
多くの人はヤマップを、“登山の会社”だと認知していることだろう。しかし、実態は異なる。
ヤマップの主軸事業は登山地図GPSアプリだが、同社が目指すのは人類のWell Beingを達成することであり、ひいては地球のWell Beingの達成だ。
いったいどうして、これほどまでの急成長を遂げられているのだろうか?
サービス開発に携わり、創業から現在までを知るCTOの樋口浩平さんに尋ねると、ユーザーに真摯なものづくりの姿勢、そして他社に例を見ないユニークな企業文化が浮かび上がってきた。
登山を起点とする人類のWell Being、持続可能なサーキュラーエコノミーへの転換、そして地球のWell Being。壮大な目標を掲げる同社の「DAY1」に迫ります。
その技術を何に使うか
人類のWell Beingを、登山から
ヤマップでは、技術は目的達成の手段だと捉えています。達成すべき目的とは会社のパーパス、つまり「地球とつながるよろこび。」を多くの人に届けていくことです。
ともすると技術軽視のように思われてしまうかもしれませんが、もちろんそのようなことはなく、むしろ高い技術力なくして目標達成などできないと考えています。
技術への高い関心、そしてリスペクトを持つことは大前提で、それを最大限活用することが私たちのポリシーです。
私たちは、「つながるよろこび」を享受する手段として、山歩きを含む自然経験を提案しています。
たとえば、登山。
山を登ると、気持ちのいい汗をかけたり、壮大な景色に出会えたり、いわゆる“日常”では味わえない幸福な気持ちになります。現代人が忘れかけている、人間本来のよろこびを感じられるのです。
また、登山道で誰かとすれ違う際には、それが見ず知らずの人であっても必ずと言っていいほど挨拶をしあう文化があります。自然に対して人は弱い存在ですから、共に助け合おうとする意識が自然と芽生えてきます。また、挨拶には相手の顔や服装を覚えて、遭難者が出た際に、情報を収集しやすくする意味もあります。危険なルートや天候、装備など、必要な情報もすべてオープンに提供し合います。
つまり登山は、自然とのつながりができるだけでなく、人と人とがつながるよろこびを得ることもできるアクティビティなのです。
しかし、人類によろこびをもたらしてくれる地球環境は、少しずつ荒廃しています。人類が豊かになることで、自然環境が悪化するという、あってはならない循環が生まれてしまいました。
私たちは、この状況を改善していかなければいけません。
山に登ることは、人間本来の“Well Being”を取り戻す行為そのものです。私たちはまず、技術を使いながらここに対処していきます。そして、そこで得た知見やつながりをもとに、地球の“Well Being”にも貢献していきます。
壮大なチャレンジであり、簡単なことではないと自覚していますが、パーパスに集う仲間の力と技術を重ね合わせれば、きっと達成できると信じています。
どのように働くのか
仕事と趣味がつながるワークスタイルを目指して
ヤマップでは、全国どこに暮らしてもいい「居住地フリー制度」を採用しています。オフィスを構える福岡と東京以外に暮らすメンバーも多く、コロナ禍以降はリモートワークが中心です。
リモートワークが中心の組織だと、マネジメントが難しくなるという意見もありますが、コロナ禍以前と以後でつながりが希薄化しているかといえば、そんなことはありません。物理的な接点が少なくても、つながりを担保する仕組みがあるからです。
たとえば、会社設立当初から続く「社内登山制度」。月に一度、業務時間内に社内登山を実施しており、交通費や宿泊費などの経費も会社が負担します。
毎日出社して顔を合わせていなくても、月に一度登山することで、絆を深めることができています。山へ向かう移動時間であったり、山頂でお弁当を食べる時間だったり、お互いを深く知る機会が多くあるため、下山する頃にはさらに深い仲になっているんです。
これらの制度は、チームビルディングだけでなく、サービスの品質を向上させるうえでも重要な役割を担っています。
登山中、休憩している方々にヒアリングすると、ありがたいことに、およそ3人に1人は「YAMAP」ユーザーです。彼らがどのような日常生活を送り、何を求めて登山しているのかを直接伺えるのも、事業成長の要因になっています。
開発チームがアプリの新機能をリリースするうえでも、自分たちが登山者として、最初のユーザーとなることは大きなメリットです。
また、設立当初から続く「残業をしない文化」も、弊社の特徴です。野球のように仕事が終わるまで残業するのではなく、サッカーのように試合時間が決まっていた方が効率的で濃い業務につながると考え、決められた時間で高い生産性を発揮するワークスタイルを目指しています。
退勤後や休日のプライベート時間で自然と触れ合うことができれば、メンバーのWell Beingやユーザー目線によるサービスの改良など、さまざまな形で会社に還元されるはず。キャンプグッズや登山用品の購入に対して一定額の補助が出る「そとあそび支援金」や、書籍購入の補助制度なども、それらをサポートするための一部です。
趣味と仕事がシームレスにつながり、いつでも自然と触れ合い「地球とつながる」ことのできる環境づくりに努めています。
誰と働くのか
パーパスに忠実な、共助のある組織
採用において最も重視しているのは、「個人として目指す方向性と会社のパーパスが一致しているか」です。
開発技術は事業をつくる重要な要素ですが、エンジニアだけで会社が成り立つわけではありません。技術を磨くことがゴールであったり、その先に実現したい未来がヤマップと異なっていたりすると、社内での「共助」は生まれにくくなってしまいます。
逆をいえば、中途採用が多く多様なバックグラウンドを持つ集団であっても、共通したパーパスを信じていれば助け合える。これからも、パーパスに忠実な組織であることを心がけていきたいと思っています。
よく聞かれるのですが、採用時点で「登山好き」である必要はありません。登山以外の分野で新規事業に参入する可能性もありますし、前述した社内登山制度を通じて、段々と登山の魅力に気付いてもらえるはずです。
今までもこれからも変わらないと言い切れるのは、「地球とつながるよろこび。」というパーパス。メンバーのみなさんには、業務を通じて自分の夢を実現するぐらいの気持ちで、失敗を恐れず挑戦してほしいと思っています。
ヤマップで働く未来の仲間たちへ
人類の未来のために挑戦しよう
私たちが実現したいのは、人類のWell Beingを実現すること。その先の未来では、環境・山・地球のWell Beingを実現したいと思っています。
現在主軸とする事業は登山地図GPSアプリ「YAMAP」ですが、人と環境のWell Beingを実現するためには、さまざまな事業展開が必要です。今後はオフラインの領域にも力を入れ、事業範囲を拡大していきたいと考えています。
手前味噌ですが、これから先の未来を考えると、挑戦しがいのある環境だと思っています。パーパスの実現を目指して、“登山地図GPSアプリ”に留まらない事業を展開していく予定なので、さまざまな経験を積むことができるはずです。
メンバーの希望を尊重するカルチャーがあるので、「こんなチャレンジがしたいです」と提案してもらえれば、「じゃあ、やってみましょう」と挑戦の機会が提示されることもしばしば。会社の成長と自身の成長を追うこともできると思います。
私たちヤマップの存在意義は、今の社会に求められていることと重なっています。人類にとって、より良い未来をつくっていくためにも、同じ思いで挑戦できる仲間がひとりでも増えたらうれしいです。